ブロードレンジPCRは、リボゾーマルRNA (rRNA) 遺伝子を標的にしたPCRで、原核生物では16S rRNA、真核生物では18S/28S rRNAといったそれぞれの種で保存された遺伝子を標的にしたものです。
ほとんど細菌が保有する遺伝子であるハウスキーピング遺伝子,16S rRNA(リボゾームの蛋白合成に関与、真菌の場合は18S/28S)はよく用いられるハウスキーピング遺伝子の一つで,これを検出することで菌の局所での存在(=感染)が証明できます。
眼科領域でもこのブロードレンジPCRを用いて、検体から細菌や真菌を迅速に検出できるようになりました。
我々はこのブロードレンジPCRとリアルタイムPCRを組み合わせて眼局所の細菌・真菌DNAコピー数を測定しています。
このプライマーのデザインでヒトに感染する細菌種の約70%を網羅すると考えられ、我々の過去の報告では、
眼内炎の主な細菌(Sugita S, et al, Br J Ophthalmol. 2011; Ogawa M, et al. Jpn J Ophthalmol. 2012)
および真菌(Ogawa M, et al. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2012; Sugita S, et al. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2012)を
網羅した検査系になっています。