よくある質問と回答

その他の網膜疾患について

Q-1
高度近視で網膜が薄くなっているといわれています。網膜剥離になる可能性があるということで定期検査をしていますが不安です。 薄くなっている網膜を厚くしたり、このような状態の網膜を改善できたりは将来的にも無理なのでしょうか?少しは研究が進められていたり、何十年後かは期待できるのでしょうか?(2010年10月7日更新)
Q-2
糖尿病網膜症です。左目は失明してしまい、右目はどんどん視力も弱くなり、視野も狭くなっています。再生医療が進展しても改善の望みはないのでしょうか?
Q-3
薬による網膜再生術についてですが、網膜剥離によって一部視界を失った場合でも、その部分の網膜を再生できるのでしょうか?
Q-4
網膜中心動脈閉塞症に対して視細胞の再生は有効に?
Q-5
骨髄幹細胞が脳梗塞の部位に集まり”神経栄養因子”、”血管新生因子”を放出し脳を修復することを知りました。骨髄幹細胞の神経細胞、新しい毛細血管を作り出すメカニズムは網膜の血管閉塞症に適用されませんか?
Q-1
高度近視で網膜が薄くなっているといわれています。網膜剥離になる可能性があるということで定期検査をしていますが不安です。 薄くなっている網膜を厚くしたり、このような状態の網膜を改善できたりは将来的にも無理なのでしょうか?少しは研究が進められていたり、何十年後かは期待できるのでしょうか?(2010年10月7日更新)
A-1
高度近視の場合の網膜が薄くなるのは、網膜が眼球の前後への延長とともに引き延ばされているためで、これは 我々 われわれ が対象としている細胞移植治療にはあまりあてはまりません。残念ながら予防する方法はないのですが、網膜が裂けたり網膜剥離になったとしても治療できますので、定期的に受診しておられたら、いつも心配している必要はないと思います。
また、高度近視でなぜ眼球が前後に伸びるかは多くの研究者が研究していますので、何十年後かには解決つく可能性もあると思います。
Q-2
糖尿病網膜症です。左目は失明してしまい、右目はどんどん視力も弱くなり、視野も狭くなっています。再生医療が進展しても改善の望みはないのでしょうか?
A-2
我々 われわれ は網膜の中の外側部分(視細胞)を再生しようと研究しております。
糖尿病性網膜症の場合は外側ではなく、主に網膜の内側部分や網膜と脳をつなぐ視神経が悪くなりますので、残念ながら 我々 われわれ の開発している治療では修復が難しいと思います。
網膜の全体を修復するには次世代の研究が必要で将来はその研究が行われると思われます。
Q-3
薬による網膜再生術についてですが、網膜剥離によって一部視界を失った場合でも、その部分の網膜を再生できるのでしょうか?
A-3
網膜剥離ついては、網膜がしわになりすぎたりしていなければ、視細胞移植で視野の一部を取り戻すことが将来できるようになる可能性はあります。
ただし、まだ安全性のわからない治療ですので、視機能が残っている方はそれを失ってしまうリスクもありますので、まずはほとんど見えない方の治療で安全性を確認して、20から30年後ぐらいには可能性があるというところだと思います。
Q-4
網膜中心動脈閉塞症に対して視細胞の再生は有効に?
A-4
両眼の血管閉塞で大変ご不自由されていることと思います。
血管閉塞の場合は網膜血管が網膜の内側の層を栄養していますので、網膜の内側の細胞が障害されます。
それに対して、視細胞は網膜の外層にありますので、障害される細胞とは異なりますので、残念ながら視細胞を再生しても症状の改善にはつながらないと思います。
また、視細胞の障害される網膜の病気であっても、現時点では、視細胞を増やしてはたして症状が回復するかは不明であり、研究中です。回復するとしても、予測されるのは物の形がわずかに見える程度の回復です。
以上、今回の 我々 われわれ の発見は治療開発に向けて歴史的に画期的な研究ではありますが、まだまだ臨床とはほど遠いということをご理解ください。
Q-5
骨髄幹細胞が脳梗塞の部位に集まり”神経栄養因子”、”血管新生因子”を放出し脳を修復することを知りました。骨髄幹細胞の神経細胞、新しい毛細血管を作り出すメカニズムは網膜の血管閉塞症に適用されませんか?
A-5
骨髄幹細胞が、傷害された神経組織に侵入し、神経栄養因子や血管新生因子を放出して神経細胞の保護や血管閉塞症の改善をすることは網膜でも十分可能性のあることです。神経再生を増強する可能性もあります。
現在のところ 我々 われわれ は骨髄幹細胞や血管の研究をしていませんが、他人の幹細胞を用いた治療よりも自分の骨髄幹細胞を用いた治療の方が臨床応用に近いと思います。他のいくつかのグループが研究を進めています。
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