よくある質問と回答

黄斑変性 おうはんへんせい について

Q-1
錐体ジストロフィは再生医療による治療が難しいと言われていますが、2年後に予定されている 加齢黄斑変性 かれいおうはんへんせい の臨床研究が始まれば、再生医療は可能になりますか?(2011年9月26日更新)
Q-2
黄斑変性 おうはんへんせい と言われています。常に目の前がチラチラするようなグラグラするような空気が揺れているような症状が20代前半から現れ、ここ数年で激しく感じるようになりました。眼科では眼振のせいと言われました。これは黄斑変性の症状ではないのでしょうか。(2010年10月7日更新)
Q-3
黄斑部変性といわれています。時々、視界の端のほうで光の丸く歪んだ形が出て、それが弾けると金色の光の小さい渦巻きが無数に激しく回りながら現れ、消えます。あと、ごくたまにですが赤色の歪んだ形が現れ、絵の具が滲んだような、血液のようなドロリとしたものがゆっくりと視界の端から端まで動いて少したつと消えます。このような症状を訴える患者はいますか?(2010年10月7日更新)
Q-4
錐体ジストロフィと錐体杆体ジストロフィの違いを教えてください。
Q-5
錐体ジストロフィについてこの病気の治療に関する再生医療の進捗状況を教えてください。
Q-1
錐体ジストロフィは再生医療による治療が難しいと言われていますが、2年後に予定されている 加齢黄斑変性 かれいおうはんへんせい の臨床研究が始まれば、再生医療は可能になりますか?(2011年9月26日更新)
A-1
加齢黄斑変性 かれいおうはんへんせい と錐体ジストロフィは原因となる細胞の種類が異なりますので、治療も異なります。2年後に行おうとしているのは 加齢黄斑変性 かれいおうはんへんせい の原因である網膜色素上皮細胞を移植する治療です。最初は安全性を確認する臨床研究なので、矯正視力0.1以下の方数人に行い、治療して矯正視力が0.1程度になることが期待される治療です。
Q-2
黄斑変性 おうはんへんせい と言われています。常に目の前がチラチラするようなグラグラするような空気が揺れているような症状が20代前半から現れ、ここ数年で激しく感じるようになりました。眼科では眼振のせいと言われました。これは黄斑変性の症状ではないのでしょうか。(2010年10月7日更新)
A-2
確かに、この症状は眼球が揺れている(眼振といいます)の影響と思われます。眼振は生まれつき持っているかたもありますが、視力が低下してきて初めて出現する方もいらっしゃいます。
でも視力の悪い方全員に出現するわけではないので、元々持っている要素(これは眼球ではなく視覚を受け取る脳の方の性質です)が関わっていると思います。それが病気の進行とともに出現してきたと思われます。
Q-3
黄斑部変性といわれています。時々、視界の端のほうで光の丸く歪んだ形が出て、それが弾けると金色の光の小さい渦巻きが無数に激しく回りながら現れ、消えます。あと、ごくたまにですが赤色の歪んだ形が現れ、絵の具が滲んだような、血液のようなドロリとしたものがゆっくりと視界の端から端まで動いて少したつと消えます。このような症状を訴える患者はいますか?(2010年10月7日更新)
A-3
黄斑変性 おうはんへんせい にはいろんな種類の変性がありますが、このようないろいろな光の玉や粒、全体の色調変化などが出現するという症状は多くの患者さんが訴えられます。網膜の錐体細胞の変化によるものと思われますが、よくわかっておらず止めることもできません。
しかし、特別に異常なことでなく、またその症状が出ても視力が必ず下がるわけではありませんので、なるべく気にせず生活されることをお願いいたします。
Q-4
錐体ジストロフィと錐体杆体ジストロフィの違いを教えてください。
A-4
網膜で最初に光を受け取る細胞を視細胞と言い、錐体と杆体の2種類があります。 錐体は、網膜の中央部(黄斑部といいます)に集中して、視力を出したり色を見るのに使われています。杆体は、中央部以外に多く、視野をカバーしたり、薄暗いところで物を見るのに働いています。
ジストロフィとは、細胞が変性して働かなくなる病気で、遺伝子異常から起るためにゆっくりと進行します。
錐体ジストロフィは網膜の中央部のみの障害で、中央に暗点(見えない部分)ができます。 矯正視力が徐々に低下し、色が判別しにくくなりますが、周辺は正常に見えますので歩行などはできます。
錐体杆体ジストロフィは、錐体から始まって杆体も変性する疾患で、最初の症状は錐体ジストロフィと同じです。 その後、夕方以降くらいところが見にくくなり、視野も障害されます。
錐体ジストロフィか錐体杆体ジストロフィかの区別は、最初は難しいことが多いです。
錐体ジストロフィでは、中心暗点の大きさがあまり変わらないのに対し、錐体杆体ジストロフィは、中心暗点がどんどん大きくなります。
また薄暗いところで歩けない手探り状態になる(夜盲)という症状が出る場合は、杆体も変性している可能性が高いです。
錐体ジストロフィが錐体杆体ジストロフィに移行するのではなく、最初から遺伝子的に決まっていると考えられます。
目を使ってはいけないなど、生活上の制限はまったく関係ありません。
また、いずれにしても進行は非常にゆっくりですので、毎日、必要以上に心配しないで普通に生活してください。
Q-5
錐体ジストロフィについてこの病気の治療に関する再生医療の進捗状況を教えてください。
A-5
錐体ジストロフィは遺伝子が原因の疾患で、残念ながら現在の医療では治すことや進行をとめることができません。網膜の再生医療の研究は少しずつ進んでいますが、錐体は網膜の中心で最も繊細な部分(黄斑)にあるため、再生医療での治療はまだまだ難しいと考えられます。錐体細胞を再生させることができても、よい視力を出すためには非常に緻密な配列、シナプスの形成が必要だからです。以上の理由からむしろ遺伝子治療の方が適しているのではないかと思います。遺伝子治療も研究が進んできていますので、将来は治療可能となるかもしれないという状態です。錐体ジストロフィは周辺部の網膜は正常ですので、歩行などは一生可能なはずです。字の読み書きなど不自由なところは様々な補助具を使うなどの工夫をしていただいて読み書きをあきらめない、残った視機能をできるだけ有効に使うということが治療法のない現状では重要と思われます。
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